第3話 :あせり (by へんしゅうちょ)
「…な、な〜んだ。遅いな〜と思ったら…
ゆ、ゆかたなんか着てきたのかぁ…。」
「えっ…。」
「あ、も、もう、花火が始まっちゃうよ。今日子ちゃん。行こうか!」
「………。」
えへへ。えへ。えへへへへ…。
ゆかたじゃん!ゆかた、ゆかた…。
(ちらり。)
か…かわいい…。
「和服のときって、下着は履かない」
って聞いたことがあるけど…。 ごくり。
い、いかんいかんいかん…。
(ちらり。)
え、えへへ。
脳内の妄想を悟られないよう、平静を装いながら、花火大会の会場に
向かって歩く。
オレ的な目標としては、今日子ちゃんのために、いい場所を取って
キレイな花火を見せてやりたい。
……で。うっとりしてる彼女を…。 えへへ…。
「涼〜。なにニヤニヤしてんのよ。キモイってば…。もうちょっとさ、ゆっく…」
「べ、別に、ニヤニヤなんて…。 …なぁ。もうちょっと早く歩こ。」
今日子ちゃんの手を取り、歩くスピードを速める。
にゃはは。(^^ゞ 手ぇ、つないじゃったもんね〜!
ラッキー!!O(≧∇≦)O
こ、これは、今夜、いいところまでイケる…かも。(*^-゚)v
ひとり、ニヤニヤしながら、会場までの道のりを歩いていく。
「お、オレさぁ。結構いい場所、知ってるんだ。 そこから見るとさぁ、
んもう、むっちゃでっかい花火がさぁ、どどーん!って見えるんだぜ!」
「う…うん。」
「でさぁ、それがさぁ…。」
いつになくおしゃべりになっちゃってるな…。俺。
いつもならこんなとき、明るい笑顔で返してくる今日子ちゃんが、
今日はなぜだか大人びた感じがして…。
だから余計に、"いつもらしさ"を強調するかのように、ことさらに明るく
振舞ってたんだ…。
でも、内心はどきどきしてた。
いきなり、手をつないだりして、怒ってるのかな?
それとも…。恥ずかしがってる??
彼女のこと、ちゃんと考えていたつもりだった。
でも、俺に見えていたのは、
【自分のデート計画に、とても喜んでいてくれるはずの彼女の姿】
だけだった。本当の今日子ちゃんの気持ちは、オレには見えていなかったんだ…。
(つづく)
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