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浴衣deデート♪ ストーリー



第2話 : 不安 (by 片瀬 萩乃)




「ねー!おかあさぁん!後ろ変じゃない!?」

全身鏡に、自分のゆかた姿を映して、確認するけれど…
なんだか可愛くない。
母は「仕方ないわね」と苦笑いをしながら、器用に直していく。

(こんなことなら、最初からお母さんに頼めばよかった…)



「はいっ。それより、時間は大丈夫なの?」

着付けに気を取られていて、時間を見ることをすっかり忘れてた。
部屋の時計に目をやると、すでに約束の時間を指していた。

「やだー!これじゃ完全に遅刻じゃな〜い!」

慌てて、きんちゃく袋に財布とハンカチ…お化粧ポーチも入れて
真新しい下駄を履き、きちんとドアも締めずに、家を飛び出した。

 

◇ ◇ ◇

 

今日は、恋人である涼くんの家の近所で花火大会があるのだ。

「今日子ちゃんって、ゆかた着ないの?」

花火大会に誘われた時、涼くんが言った言葉。

何気ない一言だったんだけど、なんだか忘れられなくて…。
勝手に「ゆかた姿みたい」って言ってくれたのかな?何て勘違いして
涼くんには内緒で、ゆかたを買いに行った。

こんなことする柄じゃないのは、十分解ってる。
ただ、少しでも涼くんの理想の彼女になりたくて…。

友達にも「今日子はゆかたを着たいと思わないでしょ」
なんて言われてるから、友達を誘う勇気もなく、一人呉服屋に行った。

帯結びも、ゆかたを買った呉服屋さんで習ったの。

だけど…

不器用なあたしは、一番簡単な帯結びも上手く出来ず
さっきだって、帯結びが完了するまでに1時間もかかっちゃった…。

 

なれない下駄に足をとられながらも、地下鉄の階段を降り電車に乗りこむ。



「どうしよ…もう10分も遅刻してるよぉ…」

いつもはTシャツにパンツ姿なのに、このゆかた姿見たら
涼くん…驚くだろうな。

 

『似合うって言ってくれると…良いな』

『遅刻したこと怒られちゃうかな』

 

地下鉄を出て、涼くんが待つコンビニに向かう。

「いったぁ…」

途中、なれない下駄のせいで、足の甲が『鼻緒ずれ』をおこしていた。
痛くて、思うように走れない。

いつもの格好なら、すぐに着く場所も、今日はなぜか遠い…。

そう言えばお母さん、「鼻緒ずれおこすかもしれないから」って
カットバン用意してくれてたっけ…。

もっと早く準備していれば
もっと言うこと聞いていれば…

後悔ばかりが頭に残り、足取りが重くなる。

そんな時、あたしの視界に涼くんの姿が飛び込んできた。

涼くんのために頑張ったんだもん。
涼くんが「キレイだよ」って言ってくれれば 、それで良いよね。

 

心を静めて、涼くんのいる場所へ急いだ。

「ごめーん!!待った? ゆるして〜!!」

両手をあわせて謝るあたしに気付き、振り向いた涼くん。

 

どうしよう…。
ゆかた姿を見られてると思うと、恥ずかしくて、目を合わせられない。
涼くんも、少し照れくさそうにあたしを見ていた。

 

『もしかして、あたしのゆかた姿…、気に入ってくれたのかな?』

 

そう思って、「どう?あたしのゆかた姿」と、聞こうとした瞬間
涼くんの口から出た言葉は
あたしの今までの苦労を水の泡にするものだった。

 

「…な、な〜んだ。遅いな〜と思ったら…

 ゆ、ゆかたなんか着てきたのかぁ…。」


この一言が、二人にとって…
特別な1日の始まりになった。

(つづく)

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