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企画特集
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浴衣deデート♪ ストーリー



最終話:ホントのシアワセ… (by へんしゅうちょ)


 

「きょ、今日子ちゃん…。ち、ちょっとどうしたんだよ…?」

顔を上げた今日子ちゃんの目には、今にもこぼれ落ちそうな涙が…。


………。


『あ、あれ?…。ひょっとして…ムード満点??』

…そんなことを一瞬考えたオレ。

でもその考えが、とんでもない間違いだったと気づくのに、そんなに長い
時間はかからなかった。


目に涙を浮かべた今日子ちゃん。突然カワイイ眉がつりあがったと思うと…
持っていたきんちゃく袋をオレに投げつけてきた!

 

ばすっ!!

 

「…。それ。持っててくれる?」


今まで聞いたことのない、地の底から湧きあがってくるような今日子ちゃんの
声に、背筋が冷たくなるのを感じた。

「お、おい…。どうし…」

オレがすべてを言い終わる前に、今日子ちゃんがものすごい勢いで斜面に
向かって突き進んで行く!!

 

「ちょ、ちょっと!今日子ちゃん!」

 

「なによ!…登るわよ!登ったらいいんでしょ!」

 


こちらに振り返りもせずにそう答えたかと思うと、履いてた下駄を脱ぎ、
両手に持ち替えて、急な斜面に下駄を突き刺すような格好で登っていくではないか!!

 

「き、今日子ちゃん…。」

 
 



 
 



 
 

…。

 
 


『かまきりみたいだよ…』。

 

ってギャグのひとつも言い放ってみたくなったのだけれど、今、そんなことを
言ったら何か大切なものを失ってしまうことは確実だ。

ここは、かまきり女…い、いや、今日子ちゃんが、足を滑らせて転がり落ち
たりしないよう、おとなしく後ろからついていくことにした。

 

きつい傾斜の坂道を3分の2ほど登り終えようとしたとき…。

ずるっ!!

…。

…オレがすべった。

今日子ちゃんは、そんなオレの姿に振り返ることもなく、ただひたすら
斜面を登り続ける。

さながら…『4本足のマシーン』のように…。






「き、今日子ちゃん…。ごめん。」

オレは今日子ちゃんの後ろ姿を見上げながら、小さな声でつぶやいた。

大変な思いをさせてしまった…。そんなことに今ごろ気づいた。

あとでどうやって謝ろう…。頭の中が、大きな花火を見せたいっていう
独りよがりな思いから、今日子ちゃんをいたわってあげられなかった自責へと
変わっていった瞬間だった。


◇  ◇  ◇


今日子ちゃんは大きくすべったりすることもなく、なんとか頂上まで到着して
くれた。…でも。

素人目のオレが見ても、ゆかたがはだけちゃって、さっきまでのカワイイ
イメージは、もうすでにない。

とにかく、謝らなきゃ…

 

「あ、あのさ、今日子ちゃ…」

「…ハンカチ…ないの?」

「え?」

「ハンカチくらいひいてよ。ここ、座って見るんでしょ?」

「あ、あぁ…。ちょっと待って…。」

 

ごそごそ…。自分のジーンズのポケットを必死になって探す。
あ、あった。…で、でも…。

ジーンズに入っていた、たった一枚のハンカチ。

でもそれは…。

…さっきトイレに行ったとき、手を拭いてしまったやつだ。
ジーンズの中に突っ込んでしまってたから、出してみるとヨレヨレで…。
…しかもちょっと湿ってる…。

でもしょうがない。

 

「あはは、あは、そ、そうだったよね。ご、ごめん。気が付かなくて…」

 

と薄ら笑いを浮かべてなんとかごまかしながら、シワを伸ばして
今日子ちゃんの足元に置く。

 

「ふん。」

 

怒った形相のまま、黙って座り込む今日子ちゃん…。

 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

ドドド〜ン!!ドカーン!!

 

目の前で炸裂する、大きな花火。

今日子ちゃんを喜ばせたい一心で、ここまで来たけれど…。


今は、この花火の音も、オレにとってはうるさいだけだった。

さっきから今日子ちゃんは下を向いたまま。
ひざを抱えて、花火の方には見向きもしないで下の方を見ている。

 

そんな今日子ちゃんのスネてる姿を見て、なんだかだんだん腹が立ってきて
しまったんだ…。

 

『確かにオレが悪かったよ。でもさぁ、せっかくここまで来れたのに…。
ちょっとくらい見てくれてもいいじゃんか。

「きれいね。」

ぐらい言ってくれたって…。』

 

思わず今日子ちゃんに文句を言おうとした瞬間、

 

ヒューーードーン!!

ドドドドド〜ン!!!

 

周りが明るく照らされる程の、大きな白い花火。
連続炸裂。中盤のクライマックスらしい。


周囲を照らす、花火のおかげで。。。
オレには全部見えてしまったんだ…。

 

涙を流している今日子ちゃんの横顔が…。そして、彼女の視線の先には…。
皮がめくれ、血がにじんだ足の甲が…。

 

「!!!!!」

 

足が痛かったんだ…。下駄って、足が痛くなることがある、っていうけど…。
今日子ちゃん…ずっと我満してたんだ…。

そういえば、さっきからずっと、オレになにか助けを求めるような視線で、
ずっとゆっくり歩きたがってる様子だったのは…。これが原因だったのか…。

 

それなのに…。オレ…。

オレって最低…。







…。

 

そ、そうだ!

「今日子ちゃん!」

「…。」

「お、オレ、ちょっと…か、かき氷買ってくるよ!す、すぐ帰ってくるからさ
ここで待ってて!」

「ち、ちょっと…」

今日子ちゃんの言葉も聞かずに、一目散に斜面を駆け下りる。
そして…かき氷の売ってる屋台を通りすぎ、ただひたすら走りつづけた。

 

◇  ◇  ◇

 

20分後…。

 

「ハァハァ…、き、今日子ちゃん、お待たせ…。」

「ちょっとぉ。遅いじゃないのよぉ…。」

「ご、ごめん。ハァハァ…。 …はい。かき氷。
…そ、それと…。これ。」

 

今日子ちゃんに渡したのは、バンソウ膏の箱だった。

 

「ご、ごめんよ…。今日子ちゃん…。お、オレ…。」

「………。」

「とにかく、使ってよ。せっかく買ってきたんだからさ…。」

「……。…りがと。」

「…。」

 

「涼君さぁ…。もう、そろそろ花火、終わっちゃうよ…。」

「そ…っかぁ。…いや。別にいいよ。うん。」

今日子ちゃんの笑顔が見れたら、俺はそれで…。





今日子ちゃんが、バンソウ膏を貼ってるうちに、最後の花火も終わって
しまった。

あたりが闇に包まれて…。

 

「…………。」


「…………。」


お互い何も話さず、そこに5分ほど、いただろうか…。
でも、オレにとっては、20分にも30分にも感じたんだ…。





『ううう。。。キス…したい…。で、でも…きっと怒ってるだろうし…』

 

さっきの『カマキリ女が斜面を掘り返す映像』が頭をよぎる…。

 

うううっ。きょ、今日はやめとこうかな。でも…。なんかいい雰囲気だし…。


………。


ええいっ!『カマキリ』なんかが恐くて、

キスができるかぁ〜!!

 


「き、今日子ちゃん…」

「えっ?」

…(* ̄◎ ̄*)…


「…イヤっ!!」

…ばきぃっ!! 


い、いでででで…!
こ、こいつ、下駄で殴りやがった…。いでででで…。

 

「今日はダメ!…もう、帰りましょ!!」

「は、は〜い。。。」

 

「…。ところでさぁ…。」

「ん?」

「これ、どうやって下までおりるの?涼くん…。」

「うぐぐ…。だ、大丈夫。オレが手を取って、下まで連れてくから。」

 

下駄ときんちゃくを預かり、あいた方の手で、今日子ちゃんの手をしっかり

握りしめる…。そして、ゆっくりゆっくりと斜面を降りる2人。

 

「そこ、石があるから気をつけて。」

「うん。ありがと。」

…二人で助け合って、斜面を降りる間に、またいい雰囲気になってきたかも。


「あ…のさ。今日子ちゃん…」

「ん?なに…?」

「さっきさ、『今日はダメ!』って言ったじゃん?『今日は』って…。」

「…。うん。言ったよ。」

「じ、じゃぁ…、こ、こんど、ふ、ふたりで…」

 

ずるっ!!

 

「ぎゃーーーーーーーっ!!!!」
「キャーーーーーーーッ!!!!」

 

□△☆!◎▽△☆★!○………。

 

「…んもう!!涼くんの、、、

 バカぁ〜〜っ!!!」

 



オレの夏って…。修復不能?


(了)







いかがでしたか?

このお話は、架空の男の子と女の子が登場する架空のストーリーです。

でも。。。

全部読み終わって、激しくうなずいてる女性や、ドキッ!としまくってる男性も少なくないはず。

それだけ「お互いのことを思いやれないゆかたdeデート」がいかに多いか、ってことの
証明になってるんじゃないかな…と思います。

 

涼くんと今日子ちゃんのようにならないためには、一体どうしたらいいんでしょう?

それを考えることが、今度のゆかたdeデートが成功するヒケツだったりするかも…。

ときすでに遅し!もうやっちゃったよ〜ヽ(´Д`;)ノ

な〜んて方も、涼くんと今日子ちゃんがこのあとどんな風になっていくかを想像
すれば、意外と解決の糸口がつかめたり…ね。(o^-^o)


みなさんのシアワセなゆかたdeデートを、心から祈ってます♪



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